Friday, February 19, 2016

少女七竈と七人の可愛そうな大人 (角川文庫)

2冊めの桜庭一樹作品。プロローグがかなりきててこれは手強いぞ、と思ったんだけど本編が始まるとかなりすっきりとした小説だった。前に読んだ「私の男」もだけど、どろどろしてそうで意外に透明感がある、というのが桜庭一樹の特徴なのかな。

しかし主人公の七竈が不思議な雰囲気をまといつつもとてもまっすぐに成長していったのに対して、雪風は最後少しひねたほうに感じになってしまったのが少し可哀想である。まあそれくらいの挫折は、きっと立ち直れるものだと信じたいが。

でも最後のゴージャスという章はよくわからなかったな。あの章いるんだろうか? 面白くないわけじゃないけど。それともスピンオフだった話を文庫版で一緒にしたのかな?

桜庭一樹って女性なんだね。私の男を読んだときに、これはものすごく女性的な小説だなーと思ったけど、どうりで。私の男も少女七竈も濃厚だけど薄いところもあって息継ぎしながら読んでいける小説だった。でも桜庭一樹の小説を追っていったらそのうち俺の中にある地雷を踏みそうで怖い。

「あなたに、少女を愛する覚悟はありますか?」と聞かれているようだ。
雪に残る七竈の実は、死の世界に取り残された生のようで怖いほどに美しい

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