Thursday, November 6, 2014

2014-11-03 雪の常念岳

先日常念小屋のスタッフにモスのクーベルチュールカフェゼリーの写真を送ったら「デリバリーお願い」「お急ぎ便ね。」という無茶ぶりをされまして。そう言われるとやりたくなるのが俺の性、常念小屋までモスをデリバリーしてきました。

しかしここはやっぱりいきなり持っていったほうが楽しかろうと考えて行くことは秘密です。山小屋は予約が必要な場合もあるけど北アでは不要なところも多い。特にこの時期は閑散としているし部屋は空いているでしょう。なお11月3日が客の泊まれる最終日なのでご飯があるか断言できないため食料だけは多めに持っていく。

一応メッセで事前リサーチを行い、ご飯はありそうだ、雪も多くなさそうだ、ということはそれとなく聞き出しておく。そして決行当日、彼女から写真が送られてきました。
「積雪したのでルンルンで横通登ってます。」
( ゚д゚)

(つд⊂)ゴシゴシ

(;゚д゚)

(つд⊂)ゴシゴシ
  _, ._
(;゚ Д゚)

完全に雪山じゃないですか!!こっちはもう松本行きの特急に乗っています。雪はあっても少し登山道わきにある程度だと思っていたのでアイゼンもピッケルも用意してない。というか持ってない。これはちょっとヤバイことになったな、と思いつつ持ってないことを百回考えたってアイゼンが降ってくるわけではない。なしで登って、これ以上は不可だ、という場面になったら諦めるしかない。

まずは松本駅で途中下車すると慌ててモスバーガーでデザートを購入し、大糸線に乗り換えて穂高駅まで。ここからタクシーで一の沢登山口まで向かいます。あわよくば別の人と同乗してタクシー代を割り勘…と思ったのですが下車した人たちはみんな温泉へ向かう格好。まあ登山シーズンではないですよね。仕方ないので一人でタクシーに乗り込みます。一の沢までは5000円くらい。あ、ちなみに休日だったからかタクシー自体はけっこう並んでました。

タクシーの運転手さんは60代なかばくらいの方ですが、今までほとんど登山をしたことがないそうです。来年孫と常念に登りたいが子供でも大丈夫だろうかと聞かれたのでお孫さんの年を尋ねるとサッカーに夢中な中3だそうです。それ絶対大丈夫だよ!というか一の沢から常念登るだけじゃ物足りないんじゃね?むしろおじいちゃんのほうが大丈夫ですか 日帰りでもいけるけどぜひ小屋に泊まって夕焼け、朝焼けを見てほしいとお伝えし、後は絶対に快晴の日にいくべきだとお話しました。

いろんな人と登山の話をしていると、最初の登山の印象で山が好きになるかどうかって変わるなーという気がするんだよね。最初が雨だともうこりごりだと思っちゃうし、晴れの日の山頂からの景色を見れば山が好きになる。だから最初のときは日程を変えてでもぜひ快晴を狙ってほしい。自分が今これだけ山が好きなのも、登山を始める前からの目的であった槍ヶ岳に登ったときがありえないくらい快晴だったからだと思う。あれが曇りだったら、それで満足してもう山を終えてたかもしれない。

さてここから小屋までは標準タイムで4時間くらい。テントも持ってなくて荷物は軽いし時間はまだ10時30分。ちょっと曇ってるけど思ったより気温は低くない。雪も大丈夫な気がしてきたので気楽な気持ちで登り始めます。

登山開始30分後。とりあえず水浴びをする。いやーやっぱ水浴びしないと山に来たって気がしないよね。

常念岳が見えてきました。おおお、白い…そして天気予報では晴だったけどパラパラとアラレが降ってきている。

雪を見ながらの水浴びは最高だね!

標高2000mあたりになると雪が増えてきてつららも伸びてきます。

自分は名古屋生まれのシチーボーイなのであまりこの長さのつららを見る機会がない。登山道の真上なんだけど落ちてきたら怖いなw これをおしりに入れたら…と考えたら穴がヒュッとした。

常念乗越手前にくると積雪が多くなってきたけど小屋はもうすぐそこです。

着いた!14時。水浴びして遊んでた時間を抜くと3時間ちょっとでしょうか。まあまあのタイムかな。俺は登山計画をたてるとき自分が標準タイムで歩くことを前提にしてるんだけど、そろそろ0.8くらいかけたほうがよいのかな。

小屋で受付をすると二食付きできるとのこと。やったね!モスを注文したIさんはお散歩中とのことだったのでTさんを呼んでもらいデザートを渡し、食堂でおでんをおごってもらう。今年おでんをかなり大量に発注したとかで小屋の内飯がおでんであることが多かったそうですw 味噌だれは朝コンビニでもらったもの。やっぱおでんにはつけ味噌がないとね〜〜♪ これがあれば白米も美味しくなるし、つけ味噌は山小屋にあっても困ることはないですよ!

さておでんをいただいたところでちょっと山頂まで足を伸ばしてみるか…と出てみたんですがめっちゃ風が強い。飛ばされる。雪質がよくてアイゼン無しでも滑ることはないんだけどこれだけ風が強いと大変だし、槍も見えないので今日はやめておいて明日にしよう。明日は本当は上高地に降りたかったんだけどね、こんだけ雪があるのに縦走するのはちょっと無理だから常念の山頂にだけ登ろう。

Iさんにはモスのデザートを持ってきたので、Tさんにはd.i.a.のブラをプレゼントしました。…残念ながらサイズが合わず。Iさんも要らないというので仕方なくブラは持って帰りました。小屋の片隅にこそっと置いておこうかとも思ったのですが来年見つかると出入り禁止になる可能性が非常に高くなるので。

ホットケーキの残りがあるということでいただきました。ごちそうさまでした。コーヒーは自分で持っていったドリップコーヒー。Iさんに「来るなら事前に言いなさいよ」と言われましたが、当日の朝メッセで「今日は休みだしコーヒー飲みに行こうかな」と通告しているのでちゃんと言ってるんですよ( ̄ー ̄)ニヤリ

晩ご飯はハンバーグ。キャベツも余ってるそうで山盛りw ご飯を何度もお代わりして山男らしいところをアッピールしたかったのですが2杯で満腹。だ、だっておでんもおやつも食べたから…

スタッフのKさんと一緒に。Kさんはなんと19歳!高校出てすぐ小屋で働き始めたそうです。すげーなー。小屋で働いている人たちはみんないろいろすごくって、自分にとっては憧れの存在です。この後個室状態の自分の部屋に移動し、夜遅くまで話をして過ごしました。

なおこの時雷鳥のようにかわいい女性スタッフがくるまっていた毛布をかけて寝たことを下山後にうっかり口を滑らせてしまい、問い詰められました。いや偶然そういうことになっただけで不純な気持ちはまったくないし、その毛布のほうが気持ち的に暖かそうだったからとか、そういう純粋に冬山に対する危機管理意識の発露なのです。しかしブリザードのように怒られて俺の心は遭難中です。

朝起きて窓から外を見ると見事な快晴!_|\○_ヒャッ ε=\_○ノ ホーウ!! 槍ヶ岳綺麗だー。

朝ご飯のあと服を着こむと頂上を目指します。乗越に出ると太陽の光に照らされた霧が強風に煽られて渦を巻いている。神秘的な光景だ。

常念小屋と横通岳
歩くとパウダースノーが強風に飛ばされ、太陽の光があたってキラキラと光り、セルフダイヤモンドダストができる。

常念小屋から山頂までは1時間弱です。そしてこの眺望!まさか今年雪の穂高、槍ヶ岳が見られるとは思わなかったので感激。雪だるまはIさんが作ったものだそうです。もう山のこと大好きだと思ってたけど、この瞬間もっと山が好きになりました。まだ山が好きになる余地があるんだ!と思って自分で可笑しくなってしまった。これから何度そういう瞬間に出会えるんだろう。

右から穂高連峰、乗鞍岳、一番奥に御嶽山。御嶽はほぼ噴煙見えず。

さてそれでは…

雪の常念岳登頂ヽ(´ー`)ノバンザーイ 寒い!冷たい!死ぬ!風はまだ耐えられるけど、裸足で雪を踏むとあっという間にしもやけ状態になる。こりゃサンダルがないと厳しいな。次からはサンダルでやろう←まだやる気か

槍ヶ岳と大喰岳。槍ヶ岳山荘の下のカールはかなり積雪しているように見える。来年はあそこに登りたいなー。まだ俺には早いかな?

常念も風下は雪庇が成長している。

小屋に戻ると着替え、小屋のスタッフの皆様に挨拶し、暖かくも厳しい言葉で追い出され見送られ、小屋を後にしました。小屋の皆様、ありがとうございました、そして半年間お疲れ様でした。

昨日解けた雪が今朝の冷え込みでガチガチに凍っていて、むしろ山頂までの道より乗越から降りる道のほうが大変だったw

だからといってひるむわけにはいきません。今日も元気に水浴びです!あー冷たくて気持ちいい!

登山道が全面凍結してアイススライダー状態なんですが…

古池や 河童飛び込む 水の音 真人芭蕉

下山しました!一の沢登山口は電波が届かないのでタクシーで下山する場合は小屋で予約しておく必要があります。俺は小屋にいた別パーティーの方たちが車で麓まで送ってくれるというので、ここで待ちます。ご飯食べて、酒飲んで、昼寝してたら到着され、大糸線の駅まで送ってもらいました。ありがとうございました!

しかし大糸線に乗ってると北アルプスがよく見えて、もう登りたい気持ちでいっぱいになってきます。でも大糸線の車内には女子高生がいっぱいいるのになぜ北アルプスには女子高生がまったくいないのでしょう? 長野の学校教育における矛盾を垣間見た気がします。このギャップを埋めることこそが俺に与えられた天命である、という情念を胸に常念岳を後にしました。また登るぜ常念岳!

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