Sunday, October 19, 2014

2014-10-10 北アルプス黒部峡谷縦走 秘湯めぐり7日間4日目 三俣山荘〜高天原温泉〜赤牛岳

前日の強風で天候の悪化を恐れていたけど、起きると曇っているものの風はかなり大人しい感じだった。そして出発するころになるとそこそこ晴れてきていい感じである。三俣蓮華岳の方角が綺麗に赤く染まっている。今日は読売新道を通り奥黒部ヒュッテまで行くつもりだが、読売新道は下り方向でも標準タイムで10時間というかなりの長丁場である。そして予定通り行かずこの日は非常に困難な一日となるのであった。テントをたたむと6時に出発。

三俣山荘から水晶岳へ行くには鷲羽岳を通るルートと巻道があるが、1時間半の時間差があるので読売新道に向かう場合はほぼ巻道一択。沢を下っていきます。

沢を下ったところに黒部川源流の碑がある。しかしここが本当の源流というよりは、ここら一帯が源流という意味のようだ。だいたい三俣のテン場にも水が流れてたけどあれもここに流れてきてるわけだから、三俣山荘自体が黒部川源流といってもよいわけである。ここで雲ノ平方面と水晶岳方面に分岐している。

何にせよ黒部川源流で泳いでおく。何度も言いますが読売新道は長いので時間がないです。

水晶岳への分岐である岩苔乗越に出ました。ここで後ろに見える水晶岳へ登っていくのが読売新道だ。しかしここで写真を撮っていただいた夫婦に「高天原温泉も興味があったんですけどもう高天原山荘の営業が終了していますからねー」と言うと「昨日山荘にいた方が、高天原温泉はまだ入れた、熱いくらいだったと言っていましたよ」という情報をくれました。これが悪魔の囁きだったのです(失礼)。ここから高天原温泉までいくのには岩苔小谷ルートで2時間くらいかかる。それはまだギリOKなんだけど、高天原温泉から温泉沢の頭までいって読売新道に戻るには難路を通らなくてはならず、その時間が読めない。場合によっては3時間くらいかかるだろう。そうすると暗くなるまでに奥黒部ヒュッテにたどり着くのは困難かもしれない…でも最も遠い温泉として名高い高天原温泉にいけるチャンス…逡巡した結果、向かうことに決意。水晶岳に向かうご夫婦に別れを告げると山を下り始めた。

道中にある水晶池とそこに映る水晶岳。このルートは谷間なので風も弱いし日が強く、上は脱いで長袖シャツのみで歩いてた。

岩苔乗越から2時間弱で高天原に到着。薬師岳がかっこいい。

小屋閉め後の山荘は寂しい。でも高天原山荘は10月半ばまでやってもいいんじゃない?と個人的にはちょっと思う。まあ高天原にテン場はないので自分としては雲ノ平でテントを張る必要があるんだけど。

山荘から温泉までは20分ほど、意外に距離がある。最初、写真でも見たことがある対岸の浴槽が見えたので沢を渡っていってみると二つとも空で、え、どうしよう…と思っていると元きた岸のほうに湯船が見えました。あーよかった。

ロケーションも天気も最高!と入ってみると…あっつい!!触って即やけどするほどではないけど湯船に浸かるとなると数秒が限界。特に肛門がやけどするかと思った。人間の皮膚の中で肛門は高温に弱い、ここテストに出ますよ。沢の水を入れたいところだけどちょっと離れてるし難しい。ゆっくり浸かることは諦め、手でお湯をすくいとりあえず汗を流す。でもまあ何度かがんばって浸かりました。

んで、温泉からあがると対岸に道が見えたのでそっちに入っていったんですが…これが大間違い!こっちは夢の平という方に続いて行止りだった。実は高天原に来るつもりがなかったので自分の持ってる登山地図は高天原がぎりぎり見切れてて、温泉の周囲の詳細な地図がない状態だったのですよ… てっきりこの夢の平の先に道がつながってると思い入り込んでしまい、危うく遭難するところだった。何かおかしい、と思い三俣への撤退も視野にいれてまずは温泉まで戻るとちょうど沢の上から人が降りてきたところだった。温泉…沢…あ!読売新道との合流地点て「温泉沢の頭」じゃん!その方に確認したところやはり沢をそのまま登っていったところが温泉沢の頭であるとのこと。その方は用意周到で、温泉をゆるめるためのバケツを持ってきているとのことで一緒に入りませんかと非常に魅力的なお誘いを受けたけど、先を急ぎたい自分は泣く泣く辞退し、沢を登り始めた。

まずはとにかく沢伝いに遡上していく。○がこまめに書かれているので注意していれば迷うことはない。でも何度も徒渉するので雨が降ってる時には絶対使えないルートだ。

1時間ほど登ったところで沢から尾根に上がる。この先は水場がないと思われるし、時間的にビバークになる可能性が高くなったためここで水を満タンにして4L確保。登りがつらくなるが仕方ない。

果たして尾根から温泉沢の頭に出るまでの2時間は本当にきつかった。かなりの急登だし、ザレ場で登っては滑るの繰り返し、14時に温泉沢の頭に着いたときはもう頭のなか真っ白だった。途中、天気がいいのに雷鳥が出てきたのが唯一の癒やしだった。

温泉沢の頭から、ずっと南に槍ヶ岳が見える!疲れているがテンションがあがる。やっぱかっこいいなあ!

16時に赤牛岳に到着。温泉沢の頭からはどちらかというとゆるやかな稜線だし、標準タイムの2時間と同タイムだったのはやはりかなり身体が疲労して足が動かなくなっていたと思われる。というか途中の岩場で、これくらいなら手で掴んでいけるだろうと思ったところで手が滑って背中から下の岩に落ちるというプチ滑落をしてしまった。運良く下は1mくらいだったし背中のザックがクッションになって怪我はしなかったけど、疲労と焦りから判断を誤ったようだ。

赤牛岳からは下に黒部湖が見える。そろそろ暗くなり始めるし、今日はもうすでに10時間歩いて疲労が全面に出てきているので、もうちょっと尾根を下って風が避けられそうなところでビバークすることにする。

17時、日が傾いてきた。ほどよい平らな場所があったのでここでビバークしよう。幸い空は晴れてるし風もなく、水もまだ2L以上ある。明日はなるべく早く出発して、一気に黒部ダムまだいって今日の遅れを取り戻したい。今日は準備不足と予定外の変更でプチ遭難、疲労と焦りからプチ滑落と失敗を二つもしてしまった。反省しつつ18時過ぎに就寝。

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