あるところにずいぶんと痩せたサンタクロースがいました。
袋はいっぱいなのですが、歩き方もよたよたと頼りなさげです。
今年もソリに乗って街にやってきますと、子どもが駆け寄ってきていいました。
「サンタさん、僕にプレゼントをおくれ」
彼はにっこり笑うと、袋からあめを一つ取り出し子どもに渡しました。
「なんだい、あめ玉ひとつだなんて。他のサンタさんはもっといろんなものをくれるよ」
彼は少し悲しい目をしましたが、子どもの手を取りいいました。
「僕は他のサンタと違って貧乏なんだ。だからこれしかあげられない」
「でも代わりに、僕は世界中の子どもにこのあめをあげなくちゃいけない」
「そして、一つあげたら、笑顔を見せてもらわないと次の子どもにあめをあげられないんだ」
子どもは最初ちょっと困った顔をして、少し考えてから言いました。
「わかった、サンタさん、あめをありがとう!」
サンタは、大きくうなずくと子どもに手を振ってソリに乗りました。
雪は白く、白く、輝いて。
世界中の子どもに、一かけらの愛を。
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