Thursday, May 15, 2008

ユーザーイリュージョン

月曜に提出するものがあって土日はほとんど寝食を取っていなかったら、ひさしぶりに12時間以上寝ました。月曜の朝に2時間だけ寝る時間があったんだけどあまりに寝ないで机に向かいつづけて変なテンションになってしまってたせいで、なぜか1時間で目が覚めてしまった。こういうのを「ラーナーズハイ」と呼ぶのはどうでしょう。

バキの(確か)10巻にユーザーイリュージョンを引用して「意識は0.5秒遅れてやってくる」ってのがあります。詳しい状況はこちらを読んでください。でね、これってびっくりするくらいユーザーイリュージョンを誤読してるよね。稲穂スタジオさんも書かれてるけど、戦闘中に0.5秒も反応が遅れてたらボッコボコですよ。ダメージはともかく、俺だってボクシングの世界チャンピオンにパンチ当てられるわ。俺のモーションだってさすがに0.5秒はかからないからね。ユーザーイリュージョンの言っている「意識の遅れ」とは「意識してから反応できるまでの時間」という単純な反射のことではなく、人間の「脳」が認識してから「意識」されるまでの時間のことです。つまり、体とかは既に反応してるのに意識はその後で気がつく、ということになる。これは「脊髄反射」ではないですよ。脊髄反射とはその名の通り脊髄で行われる反射活動で、単純に言って脳とは関係ない神経活動です。そうではなく、脳が情報を処理してるのに意識にはその処理が後から送られてくる、というのです。大げさに言えば、ボクたちは意識で物事を判断してると思ってるけど、実は脳が判断を行い、その結果が意識に送られきているのかもしれないのです。

もちろん「脳」と「意識」がどういう関係にあるのか、ということをあえて無視して書いてますが、これがエキサイティングな話であることはわかるでしょうか。ボクらは自分を自律していると錯覚しているだけで、実は脳に操られたオートマータなのかもしれないのです。一つボクがいつも思ってる身近な例を出しましょう。道で知り合いとすれ違ったとき、その人が自分の目上のひと、同僚、後輩なのかで挨拶は例えば「おはようございます」「おはよー」「おう」とか変わりますよね。でも意識が「この人は目上の人の誰々だ」と認識する前にすでに口は「おはようございます」を発し始めています。この時間差が「意識の遅れ」です。

しかしまあ言語学的な観点からみるとそんなに不思議なことではないのかもしれません。言語は意識的な活動だと思われてるけど、実際には非常に複雑な処理を行っているわけで、そしてその処理は意識的に行われているわけではない。普通に会話しているときも次これを言おう、と思ったりしてるわけではなく、何を意識することもなく脳が勝手に話しているようなものだ。そういうこともあって、ボクは意識の「随伴現象説」論者の一人なのです。
ユーザーイリュージョン―意識という幻想
ユーザーイリュージョン―意識という幻想
トール ノーレットランダーシュ


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