Friday, November 4, 2005

『暗黒宇宙の謎』

暗黒宇宙の謎
暗黒宇宙の謎
谷口 義明

10月発売のブルーバックス最新刊。これは買ってよかったね。ボクがいつも読んでる80年代90年代の本じゃ、ダークマターがあるかもしれない、ダークマターの存在は決定的になってきている、くらいの書かれ方だけど、この本ではもうダークマターの存在量まで確定して、さあそれはどんなものなんでしょう、というところまで議論が進んでいる。物理学はまさに十年一昔の世界ですね。

まず第I部で「暗黒」の種類分けがされる。これがけっこう役にたつ。物理学者が暗黒(ダーク)というとき、いくつかの用法があるのでこれを知っていないと混乱の元になるのだ。例えば暗黒星雲の「暗黒」は可視光で光っていない、というだけの単純なダークであるのにたいして、銀河の運動から推定される質量と見える領域にある質量の差の暗黒質量は「こういう質量がある」ということしかわかっていない物理学的なダークだ。

著者はすばる天文台でも観測を行っている第一線の天文学者で、専門が銀河の構造なだけあって、銀河の観測とそこから作られる理論は非常に興味深く、感銘的でさえある。特にWMAPの観測データから得られた宇宙の年齢137億年は、ハッブル宇宙天文台の観測とも矛盾しないものであった。これをもって宇宙の年齢はほぼ確定したと言い切れるようになったわけだ。

この宇宙がどのようにして生まれたのか、今宇宙はどのような姿なのか、宇宙はこれからどうなっていくのか、ボクはこれほど哲学的な学問はないと思います。