Sunday, August 21, 2005

量子力学の考え方

量子力学の考え方―相対性理論よりおもしろい
量子力学の考え方―相対性理論よりおもしろい
J.C. ポーキングホーン, 宮崎 忠

物理学者であり、同時に牧師でもあるポーキングホーン。この著書以外にも『科学者は神を信じられるか』がブルーバックスから邦訳されている。

中身はどこにもとんでもなところはなく、むしろコペンハーゲン学派の中核に近い量子力学の王道だ。数式はあまり使わないが、かといって適当に比喩で逃げる、ということをしていないので読み解くのにちょっと力が要る。でも、翻訳者の力か、著者の人格か、文体が非常に柔らかで、肩の力をほぐしてくれる感じがする。

重ね合わせの原理によって古典的論理学は完璧ではないことが証明され、フォイマンが量子論理学を作るってところが面白い。世界はAとBが同時平行でありうるのだ。

ハイゼンベルクが博士号を取得するときの逸話も面白い。ハイゼンベルクは理論物理学が非常に得意で、実験物理学を軽視してたのだ。そこで審査員のウィーンは、光学機器の分解能に関する突っ込んだ質問をしたところ、ハイゼンベルクは答えられなかった。あやうく彼は落ちるところだったんだけど、彼の才能を知っていたゾンマーフェルトがウィーンに口をきいて、結果「最低点での合格」になったのだ。

これだけ聞くとウィーンがいやな教授ってだけだけど、これには後日談がある。ハイゼンベルクが有名な不確定性原理を論文にしたとき、重要な意味を持ったのがこの光学機器の分解能だったのだ。いやはや、理論が新しくなっていたとしても、古きを温めるべきだってことですね。

神は存在するのか、と聞かれたらボクはこう答えることにしましょう。神は存在と非存在の重ね合わせなのです、と。